アメリカの悲劇 by ドライザー
大久保康雄 訳
貧しい独立伝道者の子として生れたクライド・グリフィスは、その生活から抜け出そうとしていたころ、
友人とのドライブの帰途、幼女をひき殺してしまう。 出奔したクライドは、三年後、金持ちの叔父を頼り、
その工場で働くうちに、上流階級の美しい娘ソンドラと交際するようになる。
富と野望の成就が目前に迫った時、彼は貧しい女子工員ロバータが彼の子を身籠っているいる事を知る.....。
身重のロバータを捨てようとして捨てきれず、クライドはついに彼女を溺死させ、死刑の宣告を受ける。
彼の犯罪をめぐり、立身出世主義に代表される近代アメリカ社会の内幕がさまざまに展開される。
実際におきた事件をもとに、一つの社会的、経済的野心がひきおこす犯罪を、あるがままに描きつくそうとした、
アメリカ自然主義文学の巨匠、ドライザーの円熟期の頂点をなす大作。
映画 「A place in the Sun 」 の原作です。
原作に比較したら、映画はやはりラブストーリーといってもいいかも。。。
翻訳本
地元の図書館にはなく、県内見附市の図書館から
取り寄せてくださいました。
ありがとうございます。 <m(__)m>
主人公クライドに対する印象は映画とはかなり違ったものでした。
1部 クライドの幼少期から両親のもとを出奔するまで
2部 身重のロバータを溺れさせるに至るまで
3部 裁判と死刑
2部、クライドが最低な男性だと、これでもかというくらいに描写されます。
この時点で、なんか読み続けるのがつらくなりました。
道徳的、倫理的に非難されても致し方ない、そういう人物。
でも、果たして、死刑に値する罪を負っているのか。。。
公判、クライドの弁護人の主張
” 一人の女性が心変わりの犠牲になったに過ぎない
これは道徳的には罪悪かも知らないが法律的には罪ではない ”
そして被害者のクライドにあてた手紙の朗読、これが陪審員の同情をかい
公正な判断をできなくさせました。
最終弁論が終了し、裁判官が公正な審理を陪審員に促す場面がありますが、
検察官や弁護人の策や大げさな演技に惑わされ、誘導され
現実、公正な審議など可能なのでしょうか?
この原作は実際の事件を基にしています。
Chester Gillette (24歳)は1908年3月30日電気椅子で処刑されています。
被害者 Grace Brown
チェスターはテニスラケットでグレイスを殴り、ボートを転覆、溺死させました。
裁判ではこれは自殺だったと主張しますが。。。
ドライザーは世界的波紋を呼んだこの事件の新聞記事をクリッピングし、
チェスターのイニシャルを― Clyde Griffiths にそのまま使い
アメリカの悲劇を執筆しました。
とても憂鬱になる作品です。
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バスカヴィル家の犬 コナン・ドイル/ 延原 謙 訳
P.318
最近、映画「Sherlock Holmes 」を 観て
そういえば、シャーロック・ホームズって
何も内容に関して記憶がなく、題名を観てもピンとこないし。。。
みんな忘れちゃった?
読んだのは、でも子供の時。
そしてどちらかというと、コナン・ドイルよりもエドガー・アラン・ポー
明智小五郎に小林少年の少年探偵団が活躍する「怪人二十面相」
これは江戸川乱歩作。
Wikipediaに
物語の制作にあたって、『バスカヴィル家の犬』の、
一見超自然な出来事が実は人間の手によるものという手法を参考にしている。
とあり、
早速、図書館から借りて読んでみることに。
面白いといえば面白いかな?
ただ、なんでこんなに読みにくいのかしら?? ^_^;
昭和29年発行
1990年改版
難解な熟語や種々の古風すぎる表現も多少改め。。。と改版に関し
解説がありましたが、
それにしても翻訳文は、私には
情景がなかなか脳裏に浮かびません。
やっぱり、原書で!
それが一番 (^^♪